MacroFactor と TDEE 推定 ― カロリー赤字ゼロの解釈

fit-log #005
2026-05-24

平均摂取: 2,351kcal / 日
推定TDEE平均: 2,356kcal / 日
推定カロリー赤字: ≈ 0kcal
次フェーズ目標: 2,190kcal / 日、タンパク質 138g / 日

1. この記事の目的

第1回では「カロリー赤字ほぼゼロなのにウエストが -6.0cm 動いた」という結果を示した。この記事では、その「カロリー赤字ゼロ」という前提を TDEE 推定の観点から掘り下げる。

扱う問いは2つだ。

  • MacroFactor の TDEE 推定はどういう仕組みで動いているか
  • 12週間の TDEE 推移を読むと、何が見えてくるか

そのうえで、次フェーズの数値目標の根拠を示す。


2. MacroFactor の TDEE 推定の仕組み

摂取カロリーと体重変化から逆算する

多くのアプリは Harris-Benedict 式や Mifflin-St Jeor 式のような予測式で TDEE を計算する。身長・体重・年齢・性別から基礎代謝(BMR)を推定し、活動係数を掛ける方法だ。シンプルだが、個人差を反映できないという弱点がある。

MacroFactor は異なるアプローチを取る。「摂取カロリー」と「体重の変化」という実測値から TDEE を逆算する。

理屈はシンプルだ。体脂肪 1kg のエネルギーは約 7,700 kcal とされる。1週間で体重が 0.1kg 増えたなら、約 770 kcal の余剰があったことになる。その週の摂取カロリーの合計からこの余剰分を引けば、TDEE が求められる。

TDEE ≈ 摂取カロリー − (体重変化 × 7,700 ÷ 日数)

移動平均で日々のノイズを除去する

体重は水分・食事内容・排泄状態で毎日 1〜2kg 前後するため、単日の体重では計算が成立しない。MacroFactor は体重の移動平均を使って短期的なノイズを平滑化し、数週間分のデータを蓄積して TDEE を推定する。

このため、使い始めの数週間は推定精度が低く、データが積み重なるほど推定が安定する。


3. 12週間の TDEE 推移を読む

摂取カロリーと TDEE 推移

月ごとの平均を見ると、TDEE が右肩上がりで伸びていたことがわかる。

期間平均摂取推定TDEE
2月末(3日)2,594 kcal1,861 kcal+733 kcal
3月(31日)2,141 kcal2,180 kcal−40 kcal
4月(30日)2,393 kcal2,458 kcal−64 kcal
5月前半(17日)2,617 kcal2,583 kcal+34 kcal

TDEE は期間を通じて 1,861 kcal から 2,583 kcal へ、約 720 kcal 上昇した。

2月末の数値について

2月末の TDEE が 1,861 kcal と低いのは、MacroFactor が推定に使えるデータをまだ持っていない時期だからだ。使い始め直後は初期値として低めの推定が出やすく、数週間分の体重と摂取カロリーが蓄積されて初めて推定が安定する。

また、この3日間は摂取が 2,594 kcal と高く、MacroFactor が「摂取 > 消費」と判断して TDEE を上方修正する前の段階だ。

TDEE が上昇した理由

3月以降の TDEE 上昇は、主にトレーニング量の増加によるものと考えられる。怪我明けでゼロに近かった活動量が、週3〜4回のジムトレーニング+補助トレ週2回のペースに戻ったことで、消費カロリーが大きく増えた。

PAL(身体活動レベル)の観点では、デスクワーク中心の生活で運動量がほぼゼロの状態(PAL ≈ 1.2〜1.3)から、定期的なトレーニングを含む生活(PAL ≈ 1.5〜1.6)に移行したと解釈できる。


4. カロリー赤字ゼロでウエストが減った件の再解釈

12週間の平均で見ると、摂取 2,351 kcal に対して推定 TDEE 2,356 kcal と、差はほぼゼロだ。教科書的には「体重・体組成ともに変化なし」が予想される。

しかし実際には体重 -0.6kg、ウエスト -6.0cm という結果が出た。

初期の TDEE 過小推定

一つの解釈は、期間前半の TDEE が過小推定されていた可能性だ。MacroFactor の学習が完了するまでの数週間、推定 TDEE が実際より低く出ていたとすれば、「摂取 ≈ TDEE」という計算は成立していても、実態は摂取 < 実際の消費だった可能性がある。

3月の月平均でも摂取 2,141 kcal に対して TDEE 2,180 kcal と、わずかながら赤字が出ている。トレーニングを再開した直後でエネルギー消費が増えていた時期と重なる。

リコンプという解釈

もう一つの解釈は、第3回でも触れたリコンプだ。脂肪が減り筋肉が増えれば、体重は動かないまま体組成が変わる。カロリー収支がほぼゼロでも、タンパク質が十分確保されていれば筋肉合成は起きうる。

期間中の平均タンパク質摂取は 122 g/日で、体重あたり約 1.6 g/kg だ。十分とは言いにくいが、リコンプが起きうる水準ではある。

どちらの解釈が正しいかは判断できない。ただ「カロリー赤字ゼロ」という数値を額面通りに受け取るのは適切ではなく、計測の誤差と推定の不確かさの中に答えがある。


5. 継続する方針と現在地

方針と目標設定

「緩いアンダーカロリーで脂肪を落としながらトレーニングを続ける」という方針は、この12週間を通じて変わっていない。問題は方針ではなく、外食や飲酒でカロリー目標を守れない日が続いたことだ。結果として摂取 ≈ TDEE に収束し、体重はほぼ動かなかった。

MacroFactor には以下の目標を設定している。

  • 目標体重: 68.0 kg
  • 目標ペース: -0.32 kg/週

この目標に対してコーチ機能が自動計算した摂取目標が 2,190 kcal/日、タンパク質 138 g/日 だ。5月時点の推定 TDEE(2,583 kcal)に対して約 390 kcal の赤字になる計算で、目標達成の目安は7月10日以降だ。

数値はコーチの自動計算に委ねており、自分で設定したのは「緩いアンダーカロリー」という方針と、目標体重・ペースの2つだけだ。

数値目標

指標現在目標
体重〜69 kg68.0 kg
スクワット77.5 kg × 4100 kg
デッドリフト72.5 kg × 5105 kg
ベンチプレス57.5 kg × 670 kg

体重目標の 68.0 kg は、ウエスト周径と体組成のバランスを考えて設定した中間地点だ。Big3 の目標は怪我前の2017年の水準(SQ 115kg、DL 120kg、BP 60kg)を踏まえた段階的な目標で、まず「リハビリ完了」の目安として設定している。

6月中旬にディロード(回復週)を挟み、その後新しいサイクルを開始する予定だ。